在校生・保護者の方へ

HOME › 在校生・保護者の方へ > 校長先生のお話

校長先生のお話

2012年12月度のお話

2012年12月度のお話です。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

2012年12月22日

2学期終業式

 8月27日から前倒しで学期が開始され、校舎引越による休日を経て新校舎での生活に移った2学期も終わります。学期の終わりにあたる今、2学期を振り返ってみて何か収穫のある学期となりましたか。

 さて、2学期の始業式の時に話した内容を覚えていますか。忘れてしまっている生徒は思い出してほしいのですが、松下村塾と慶應義塾を紹介して、社会を変える気概を持つことの大事さを話しました。意気込みと目標を持つこと、これは松下村塾や慶應義塾の塾生に限らず、時代を超えて未来を担う若者に当てはまるとても大事な姿勢なのでぜひ心に留めておいてほしいと思います。

 ところで、これは新潟県の公立高校の話ですが、新潟の公立高校4校の理数科の生徒を対象にしたアメリカ研修旅行が3年前から始まっています。英語圏の国への語学研修旅行は色々な学校でやっており、特に目を引く企画ではありませんが、直接聞いた話なので紹介すると、当初の目的は、世界に目を開いた生徒になること、英語学習のmotivationを高めることなど4点ほどあがっていましたが、理数科といえども語学力は必要だということで、特に語学力を高めることが最大の目的の研修旅行でした。

 参加した生徒が帰国後に書いたものを読むと、現地の高校生との交流を深めたり、ハーバードやMITのキャンパスを見学して充実した施設や学生のレベルの高さを知って学問研究のモティベーションを高めたりしたなどの成果をあげていることがうかがえます。同じ世代の若者が楽しく勉強していること、将来のことをしっかり考えていること、ディスカッションした大学生のレベルが高いことなどに大きな刺激を受けて帰ってきました。

 帰国後は(こうは書いていませんが、例えて言えば)現在のぬるま湯のような自分の状態とアメリカの学生との意識の違いに目覚めて、こうしてはおられないと一念発起し目標を立てて猛烈に勉強を始めた生徒がでてきました。学校はここまでを期待して語学研修を始めたわけではなかったのですが、副作用的な効果が出て、大学進学率が上がったということでした。自発的に出てきた「やらなければ」という気持ちが意欲的に勉強に向かわせたわけです。

 この例でわかるとおり、「自発性」、言い換えれば「やる気」「意欲」、これを持つことは人間、特に若者にはとても大事です。「やる気」、英訳するとmotivationです。「やる気」、motivationの大事さは六甲生でも上級生ほど実感できるでしょう。たとえば、中間体操委員は誰よりも早く上半身裸になる、訓育委員は便所掃除をいとわない、文化祭・体育祭委員は遅くまで会議をし、寝不足になって目を真っ赤にしながらもがんばることができる。これらはすべて自発的にやるからここまでできるのです。

 今挙げた例は行事や諸活動の分野の話ですが、行事や諸活動だけでなく勉強においても自発的に意欲を持って取り組むことが大事です。

 六甲の生徒は諸行事、諸活動についてはよくがんばってくれていると思います。外部の人からの評価も得ています。ただ、苦言を呈するならば、勉強面に関しては、意欲、自発性があまり高くいようには思いません。この点については、私は、君たちはもっと伸ばすことができる、伸ばさなければならないと思っています。

 先程新潟の語学研修旅行を紹介しました。これとは別のグループの話になりますが、ハーバードの大学生とグループディスカッションをした生徒が経験したことです。ハーバードの大学生から質問される。質問内容は理解できるのでイエスかノーかで答えることはできる。けれど、次にではなぜイエスなのか、なぜノーなのか、君はなぜそう考えるのか、を問われた。そのときに、自分の考えを持っていない生徒はそこで詰まってしまったのです。話す能力はあっても内容についての知識を持っていなければ、あるいは自分の考えを持っていなければ話はそこで終わってしまいます。相手にされなくなります。

 このようなことにならないために、まずは知識を習得すること、そしてその知識をもとに自分の考えを持つことが大事です。知識を総合的に蓄積すること、そしてその総合知をもとに自分の考えを展開できること、これはグローバル社会といわれる現代社会において世界に伍していくために君たちに要求されていることです。

 ここで自発性・積極性が要求されます。単に受身で知識を蓄積するだけで終わるのであればそこから自分の考えを持つまでには至らない。自発的・積極的に知識を吸収することで知識が自分の血となり肉となる。そこから初めて自分の意見を構築することができます。

 諸行事・諸活動にあれだけ積極的・自発的に関わることのできる六甲生だから、知識の習得、すなわち勉強においてももっと前向きに取り組むことができるはずです。

 新校舎が完成し、学習センターで自習する生徒の数も増えています。特に高3は目の色を変えて真剣に取り組んでいます。いいことだと思います。始業式の時に話をした社会を変える気概を持ち、自発的に物事に取り組み、知識を蓄積して発信できる内容を持つ人間になってほしいと願っています。そのような観点から、2学期の終わり、2012年の終わりにあたって、2学期を振り返り、2012年を振り返ってください。パウロのように、すべてを吟味して、良いものを大事にし、MAGIS、もっとよくなるように、気持ちを新たにして新年、新学期を迎えてください。

 最後に、高校3年生はセンター試験が間近です。インフルエンザの流行期に入ったとのことです。健康管理をしっかりして目標に向かってがんばってほしいと思います。後輩も応援しています。