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校長先生のお話

2011年12月度のお話

2011年12月度のお話です。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

2011年12月22日

2学期終業式

 2学期が終わります。また、12月は1年の終わりでもあります。新聞では年末には恒例になっている今年の十大ニュースを発表します。普段、私たちは忙しくて過去の出来事を振り返ることがあまりありません。学期末や年度末、あるいは年末という節目の時に1学期、1年を振り返ることはとても大事なことです。

 そこで、私は2学期の終業式にあたって「六甲生の2011年」を振り返ってみました。この1年、六甲の生徒にどのような進歩・前進があったかという観点からの振り返りです。2011年度の区切りは3月なのでその時のほうがいいかもしれませんが、その時には高3はいないので、2011年の終わりの2学期末に振り返ってみることにしました。

 選んだ出来事は、「この1年、六甲生ががんばったこと、評価できること」という視点からのものです。5つ選んでみました。自分のメモや年間行事予定表を見て思い出しながら考えた個人的なものなので、目の届かない部分もあるとは思いますが、参考までに紹介すると、

1.大震災に対する対応―募金、ボランティア、他校とのコラボの動き、寄せ書きなど

 他校とのコラボは六甲という枠の中にとどまらず、外部に仲間を作って活動を広げていく意味で大きな意義があったと思います。また、その中で行われたミーティングや発表では六甲の生徒が、人数が多いこともあったかもしれませんが、局面をリードしていたこともよかったと思います。寄せ書きは良いアイデアでした。そして相手に大変喜ばれ、返礼の寄せ書きまで送られて来ました。見返りを期待してやったことではなかったわけですが、自分たちのやったことが喜ばれた、意味のあったことだということが確認できたことはうれしいことでした。

2.学年別朝礼の利用

 今年度から新設された朝礼の形態で、学年ごとに行われる朝礼です。先生が使うこともありますが、生徒に任されることも多かったですね。前に立って話す生徒は同級生に自分の主張を理解してもらえるようにしっかり準備して発表することが必要で、そのためには5分程度の話でも時間をかけて準備し、筋道を立てて話すようにすることが大事なことが分かってきます。資料を使って説得力のある話をした生徒もいました。度胸もつきます。聞く側も同級生の発言に触発されるでしょう。自分の伝えたいことを同級生に発信する場ができ、それを上手に利用してくれた点で大いに評価したいと思います。

3.文化祭での展示発表によいものがあった

 展示パートによる震災や節電に関する展示、中1の久美浜についての展示など、いくつかの展示発表で中身の濃い良いものがありました。文化祭で模擬店や喫茶店、あるいはステージなどで楽しむことは大いに結構ですが、文化部や学年研究、同好会など一連の研究発表や、音楽・美術・演劇といった芸術部門といった文化祭のコアになる部分が充実すると六甲の文化祭は質の高いものになります。そのような意味で展示発表が充実していたことは良かったと評価しています。

4.学校に来にくくなり、そのため苦しむ生徒もいるが、そのうちの何人かはがんばって出てきてくれるようになったこと。

 個人のがんばりに帰する内容のことですが、個人的にすごくうれしかったことと、こういった生徒たちのがんばりを支えた友達やクラスメイトがいたということも大きな要因だと思ったので取り上げました。

 なお、このことについて考えていたとき、私は、事情は少し違いますが20年以上前に担任をしていた学年のことを思い出しました。高2のときでした。クラスの中に一人、ほとんど誰とも話をしないY君という生徒がいました。中1のときからそうだったようで、誰とも話をせずいつもぽつんと独りでいるから、当然友達といえるような友達はいません。やがて修学旅行(現在の研修旅行)が近づき、班分けをすることになり、皆それぞれグループを作ったわけですが、作った後で、Y君がどの班にも入っていないことが分かりました。静かで黙っているのでまったく見落としていたのでした。あわてた修学旅行担当の先生が、適当な班に当たりを付けて、班長に「お前らの班に入れてやってくれないか」と頼むと、「いいですよ」ということですんなり受け入れてもらいました。

 独りぼっちになっていないかが気になっていた私は、修学旅行の間中気を付けて見ていたのですが、その班の生徒たちは急に入ってきたY君に対して、無視するわけでもなく、かといって無理に話しかけるわけでもない絶妙の間合いで接してくれていました。Y君も機嫌よくその班の仲間に彼なりに溶け込んでいました。それを見て、私は六甲の生徒はどんなタイプの生徒にも居場所を提供してやれることができる度量というか能力があり、六甲はいい学校だなとつくづく思ったものでした。今回もその延長線上の出来事のような気がします。

5.挨拶がよくなった

 2年前から「挨拶をしよう」ということを年間目標に掲げてやってきましたが、挨拶は旧校舎時代に比べて格段に良くなりました。挨拶は相手の存在を認める行為であり、人間関係を潤滑なものにします。特に朝、元気のいい挨拶をしてもらうと、その日一日の気分がまったく違います。仮設校舎は廊下が狭く、人と人との接近の度合いが近いことが一つの要因かもしれませんが、それだけではないと思います。挨拶ができるようになったことは大変うれしいことです。ただ、教員でない人、たとえば外部から来られた方に対しては どうでしょうか。また、ガードマンの方に失礼な物言いをする生徒がいるという報告を聞いているし、校外ではマナーの悪い六甲生がいることも耳に入っています。これは大変残念なことで、その意味ではまだまだといえますが、マナー向上の第一歩として「挨拶」をとらえ、これができるようになったことを評価したいと思います。

 以上が私の考えた「この1年、六甲生ががんばったこと、評価できること」のベスト5です。なお昨年度、中学委員会が大いにがんばってくれていてよかったと思います。1月から3月にかけての活動は2011年に入りますが、2010年度の活動といえるので、ここでは「番外」として評価しておきます。

 これらをまとめると、要するに自分の能力を磨くこと、あるいは自分の思いや訴えたいことを発信することに前進のあった1年であり、他の人のことを思いやることにさらなる前進のあった1年であったと言えるのではないでしょうか。

 こうしてみると、勉強面、生活面では、全体として見ると大きく評価できることは少なかったように思います。勉強面では、高3がしり上がりに調子を上げてきているようなので、結果を楽しみにしていますが、全校的には今年度初めに皆に呼びかけた「授業を大切にしよう」という目標にはまだまだという印象です。生活面では挨拶ができるようになった点を除いては、遅刻をしないなどの生活のリズムに関する面や頭髪をきちんと整えるといった身だしなみの面、物を大事にするといったようなことなどはまだまだです。

 来年はこのあたりをがんばってみてほしいと思います。

 今回の話は六甲生を全体として見て評価したものです。個人として見た場合は、これとはまったく異なる評価が出ることもあるでしょう。ですから、君たち一人ひとりも2学期の終わり、2011年の終わりにあたって2学期を振り返る、あるいは1年を振り返って自分を評価し、次の1年に向けて気持ちを新たにする機会にしてもらいたいと思います。

 それでは、来年が皆にとって良い年になることを祈りながら、終業式の話を終わります。