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校長先生のお話

2011年11月度のお話

2011年11月度のお話です。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

2011年11月14日

強歩大会を前に

 今週の木曜日はいよいよ強歩大会です。 体育の授業でも走りこんでいるようで、当日はぜひがんばってもらいたいものです。

 六甲の強歩大会は今年で65回目になりますが、11月20日の日曜日には第1回神戸マラソンが行われます。 フルマラソンには18,000人が走るそうで、神戸でこれだけの人数が走るとなると、自分の知り合いが参加するという生徒諸君もなかにはいるのではないでしょうか。 私の同期の友人でも、六甲の中2のスキー合宿に来てくれている福井大学の田中先生が抽選に当たったと言っていましたし、校医の山田先生も走るとおっしゃっていました。 これだけ多くの人が参加するとなると、マラソン大会を運営する側の準備も大変だと思います。 六甲からも陸上部の顧問の先生や部員が手伝いに狩りだされるようです。

このように、最近のマラソンブームには目を見張るものがありますが、面白いと思うのは、最近社会で評価されてきているものの中に六甲が長年にわたって行ってきたものがいくつもあるということです。 マラソンだけでなく、便所掃除も最近公立の学校や会社、あるいはボランティア活動でさかんに行われています。 また、社会奉仕活動の大切さが認識され、社会奉仕活動に携わる人たちが増えてきていますが、これも六甲では数十年前から実施してきたものです。

最近、ある雑誌の依頼で六甲教育について記事を書きましたが、その中で「バンカラで先端を走る」という表現を用いて説明をしました。 六甲が長年変えずにやってきたものは一見古めかしく見えるかもしれないが生徒の人間的成長に大きな意味があると考えてやり続けてきた、これらが今、世間で評価されるようになってきた、といった意味でそのような表現をしたわけです。

さてマラソンに戻りますが、マラソンレースの駆け引きはテレビで観ていても面白いものがありますね。 ダンゴ状態で走っている集団の中から一人の選手がタイミングを見計らってスパートをかけると他の選手が付いていけなくなりあっという間に差が付いてしまうケースを時折見かけます。 なぜ今まで同じように走っていたのに付いていけなくなるのか不思議だったのですが、これは脳の働きが関係するということです。

以前にも脳の役割について話をしましたが、ゴールはもうすぐだと思うと、脳が店じまいのサインを出してしまい、その結果血流が落ちるそうです。 あるいは、ダメかもしれないと思うことでも血流が落ち、その結果運動能力が下がるらしいです。 マラソンレースで、相手が疲れを見せた時、あるいは少し油断したと思ったときにスパートすると「付いていけないかもしれない」というサインが前頭葉にいって血流が落ち、その結果、引き離されまいとしてもスピードが出ないということになるのだそうです。

これは優勝を争うランナーの話ですが、君たちが走る強歩大会でも基本的に理屈は同じです。この上り坂しんどいな、ダメだ、歩いてしまおうかと思うと脳血流が落ちて運動能力が落ちる、まだまだがんばるぞ、と指令を出し続けると脳血流は落ちません。

もちろん体調の問題はあるので一概には言えませんが、前向きに取り組むことがよい結果を生み出すことになることは確かです。 気持ちの問題だとよく言いますが、これを精神論で片づけてしまうのは早計で、実は脳科学的にみてもっともなことなのです。

17日の強歩大会、ぜひ前向きに取り組んで、良い結果を出してくれるよう念じています。