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COVID-19の世界的感染拡大の中で

校長 古泉 肇

 新型コロナウイルスの感染拡大により、六甲学院は3月2日から5月6日まで臨時休校としています。そして5月7日から学校が再開できるか予断を許さない状況です。
 現時点で発表されているコロナウイルス感染の特性は、いわゆる「三密」などの条件が揃った場合に感染力が高いことだけではなく、感染しても軽症で済む人や無症状のままの人がいることです。従って、自覚しないうちに自分が感染し、他者にうつす可能性もあります。
 その可能性をできる限り低くするために、私たちは「ソーシャルディスタンス」(感染症の拡散を停止または減速させるために保つ、人と人との物理的な距離)をとり、マスクを着用し、手洗いを徹底し、自己の免疫力を落とさないようにするなど、積極的な行動をとらなければなりません。

【私たちのミッション】

 そのような緊張感のある日々、臨時休校が続く生との皆さんやご家族の皆さんはストレスを抱えて苦労されていることと思います。私たち教職員も休校が解除となって、学校に皆さんの姿が戻ってくることを心待ちにしています。
 しかしながら今は、感染拡大をくい止めるために不便・不自由を受け入れなければならないときです。自分だけではなく家族、地域、日本、そして世界の人々をコロナウイルスから守るというミッション(使命)が私たち一人一人に与えられています。六甲学院もこのミッションを果たすために、しばらく休校を続けてまいります。保護者の皆様にはご理解ご協力をお願いいたします。

【仕えるリーダー】

 当初予定していた休校期間は緊急事態宣言により、さらに延長されました。それによって、一学期中に予定されていた様々な行事を中止せざるを得なくなりました。行事を楽しみにしていた生との皆さんはさぞがっかりしたことでしょう。様々な行事を通じて生とたちは心身ともに成長していきます。その貴重な機会が失われたことは学校としても大きな痛手です。特に「仕えるリーダー」として成長する大きな機会である体育祭が中止になったことは、すでに準備を始めていた高三体育祭役員のみならず、全校生、全教職員にとっても大きな悲しみとなりました。
 「仕えるリーダー」とは上に立って命令する人ではなく、他の人を下から支える人のことです。つまり「縁の下の力持ち」とも表現されるのではないでしょうか。
 体育祭の中止によって空いた穴を埋めることは容易ではありません。そこで生との皆さんにお願いしたいのは、休校中も学校が再開した後も、周りにいる人、特に困っている人、助けを必要としている人の支えになって欲しいということです。コロナウイルスの感染拡大をくい止めるために不自由を受け入れ、忍耐するなら、皆さんは「身近な人だけでなく世界中の人々を支えている」と言えるのではないでしょうか。
 このように忍耐してコロナ危機を乗り越えた暁には、皆さんは「仕えるリーダー」(Man for others)として大きく成長していることでしょう。

【他者のために】

 コロナウイルスは人と人とを引き離します。感染すると隔離されて会えなくなり、見舞いにも行けない、最期を看取ることも許されません。しかし「コロナ」とて、人の心は引き離すことはできません。現に今、至るところでお互いのために祈り合い、自身の時間や能力を分かち合い、そして何より、医療関係者は命がけで病者の治療と看護にあたっています。これこそ、何によっても断ち切られることのない愛の連帯と言えましょう。
 人類がコロナウイルスに真の意味で勝つためには、お互いに祈り、お互いに助け合い、自分自身が今できることを他者のために続けることが不可欠だと思います。皆さんが在宅で過ごす日々も六甲生として繋がっていることを忘れず、この「世界を支えるミッション」を誇りとして、日々を過ごしてくださることを心より希望しています。

教皇フランシスコの祈り
新型コロナウイルスのパンデミックに対して、全世界の祈りと思いやり、優しさで
対抗していきましょう。一致を保ちましょう。一人ぼっちで試練に立ち向かっている人々が、
わたしたちがともにいることを感じられるようにしましょう。

(カトリック中央協議会HPより)